コミッショニングレターVol.21 No.6(6月号)

2023/06/09掲載

第19期通常総会 開催報告

建築設備コミッショニング協会の第19期通常総会が下記の通り開催されました。

今年度の通常総会並びに講演会は、実会合・オンライン併用のハイブリッド形式で開催となりました。

また、講演会終了後に技術交流会を開催し、会員で歓談を楽しみました。

    日 時   2023515日(月)13時30分 ~

 場 所  TKP新橋カンファレンスセンター ホール14A14階)

   

◆総会

19期総会は正会員230名のうち、総会出席者30名と委任状提出者65名の合計95名で定足数を満たしており適法に成立しました。その後、以下の議案の審議がなされ、すべての議案が議決されました。

・第1号議案「第19期事業報告及び収支決算に関する事項」

  第19期事業についての報告と収支決算報告、ならびに監査報告がありました。

事業執行に対する収支決算報告がなされた後、適切に処理されているという監査報告があり、本議案が承認されました。

・第2号議案「第20期事業計画()及び収支()に関する事項」

20期事業計画案が説明されました。

事業計画案の説明後、予算についても説明がなされこれらが承認されました。

・第3号議案「役員の選任に関する事項」

理事退任に関する事項、理事の新任に関する事項の説明があり、これらの事項が承認されました。

  その後、新任理事の奥宮氏より挨拶が行われました。

 

◆講演会1

「環境配慮契約法のめざすもの」

鎮西 武氏(環境省 大臣官房 環境経済課)

 □要旨

 ・環境配慮契約法は、国や地方公共団体等の公共機関が契約を結ぶ際に、価格だけではなく環境性能に優れた製品・サービスを供給する者を契約相手とするための制度である。

 ・グリーン購入法が、一定水準の環境性能を満たす製品・サービスの調達を目的としているのに対して、環境配慮契約法は価格に加えて環境性能を総合的に評価する制度となる。

 ・令和4年の改訂において、ESCO事業とは別に建築物の改修に係る契約を環境配慮契約に位置づけた。

 ・今後、環境配慮契約法は、新築建物はZEB水準化、既存改修建物は段階的にでもZEB化、維持管理においてはエネルギー管理指標の実施率向上を目指すものである。

□質疑

・環境性能に優れた発注をするには企画段階が重要であり、どのようにアプローチ出来るでしょうか?

⇒環境配慮契約法では、主に設計・工事を扱うことになり、企画段階への直接的なアプローチは難しいが、当制度を利用した設計・工事の事例収集しメニュー化を行い、企画段階にフィードバック出来るようにしたい。

・計測分析の業務について、法制化や補助金などの強い国からのバックアップがないと普及しない状況である。

⇒地方公共団体などでは、発注側に計測分析が出来る技術者も減っていて、同様の課題を認識している。

建築物のPDCAを回す為の仕掛けを是非、一緒に考えていきましょう。

・発注仕様書にZEBとある場合、特に、改修案件のZEBといった場合に、建築物省エネ法のZEB定義にこだわってしまっていることが多い。改修建築物のZEBについてお考えありますか?

⇒改修建築物については、ZEBに関するコンサルティング業務なども必要と思われる。環境配慮契約法での取扱は今後検討が必要である。

新築と改修の工事発注にはZEBの定義に差をつけてはいかがでしょうか。

 

◆講演会2

カーボンニュートラルにむけたLCCAの最新動向

小林謙介氏(県立広島大学・小林謙介 准教授)

 □要旨

    ・LCAとは、製品・サービスに係る範囲の全体を俯瞰して、環境から採取した資源の量、環境へ排出した物質量を定量化する手法である。

LCAを用いて、ラベリングをすることで企業イメージの向上、建物の性能表示に使用される。

・建物のLCA算出の際に、フォアグランドデータ(実際に用いられた資材・エネルギーをすべて自ら計測)とバックグラウンドデータ(汎用化されたデータ)のどちらを利用するかということを明確にして取り組む必要がる。

・建物のLCA分析結果はm2あたりか棟あたりか、建物の耐用年数をどう考えるかで結果が変わることがある。

・インベントリ分析によって算出された結果を基に、多角的に環境影響分析を行い、単一指標に統合化を行う。

LCA算出においては、分析結果を完全性・整合性・感度分析をもとに反復して検証し、環境負荷削減に向けた視点で更なる改善点などを検証して分析を行う事が重要となる。

 

□質疑

・統合化の際に用いる重み係数のつけ方について教えてください。

⇒重み係数については、ISOなどでは必須でありません。しかしながら、社会科学的なアプローチとして、社会的に取り組み易い項目や取り組むべき項目の反映が必要と考えて、アンケート調査などをもとに重み係数を設定しています。

・電力の二酸化炭素排出係数など将来的な変動はどのように評価されていますか。

⇒現行のデータベース提供については、将来変動は加味されていません。一方、今後の排出係数の増減シナリオを設定して分析することはできます。

・重み係数などは当事者間の合意をもって、すり合わせていくべきではないか?

LCA算定は万能なツールでない自覚をもって取り組んでいます。ご指摘の通り、ルールメイクはひとつの考え方で決めるべきではなく、取組関係者の重視する項目も違うことを理解してツールをうまく利用できるようにしたい。

 

(右写真:講演1 左写真:講演2)

CxTE(性能検証専門技術者)講習会のお知らせ

CxTE講習会を下記の通り開催予定です。詳細が決まり次第、BSCAホームページ並びにCxレターにてお知らせいたします。

 

日時:2023825日(金)9:00~16:30(予定)

開催方法:WEB開催

 

なお、今年度はCxTE実務講習会(模擬機を利用し実際の空調システムの調整を行う講習会)を企画しております。今年の12月頃の開催を目指しておりますのでご期待ください。

 

エネルギーシミュレーションツール評価手法 ガイドライン説明会

公益社団法人空気調和・衛生工学会「省エネシミュレーション評価法作成委員会」では、20137月から20203月までの7年間、建物のエネルギー消費量を推定するシミュレーションツールの信頼性について客観的な評価方法の開発に取り組んできました。その間、20163月には「SHASE-G 1008-2016 建物エネルギーシミュレーションツールの評価手法に関するガイドライン」を発刊し、その後も種々のツールによるシミュレーションの試行を経て、計算事例の拡充と評価法の改善・整備を行ってきました。そこで今回、「空調システムシミュレーション評価法ガイドライン制定委員会(活動期間:20218月~20231月)」においてこれらの成果を反映し、本年3月に表記の新たなガイドライン制定に至りました。

 説明会では、本ガイドラインが今後のシミュレーションツールの活用促進と建物分野のカーボンニュートラル化に貢献することを願いその概要を説明予定です。

 

 

開催日           令和5731日(月)13301730 (受付開始 1300~ )

定員              対面 40名  オンライン 400

会場              学会会議室(対面) ②Zoomウェビナーを利用したオンライン

参加費           無料

主催              公益社団法人 空気調和・衛生工学会

 

  申し込み詳細は下記HPをご覧ください。

  http://www.shasej.org/bosyu/2304/gaido%20setumeikai%202023.07.31.html

活動実績 活動予定 他

◆協会活動実績 (2023/5)

2023515日(月) 第19期通常総会

 

◆協会活動予定 (2023/62023/7)

20236月実施予定(日程は未定) 第2回企画運営委員会

 

◆編集者より

    58日(月)から新型コロナが5類に移行となりました。公共交通機関の車内では、日本人らしさなのかマスクを着用している方が多いようです。厚労省も感染者数のカウントを取りやめてしまったので、現状の感染拡大の状況が把握できませんが、まだまだ感染者が減らない情報もあり、このままwithコロナが継続するのかと思うと微妙な感じでスッキリしません。

 

◆編集長より

    515日に建築設備コミッショニング協会の第19期通常総会が開催されました。今月号の記事に掲載しましたとおり30名が現地出席し、現地+WEBにて開催することができました。昨年の対面開催は、おそるおそるの開催だったのですが、今年はコロナをあまり意識することなくコロナ以前と同じ雰囲気で開催できたように思います。日常の生活がもどってきたを実感しました。

 

   ◆企画制作

編集者:田上(建築設備コミッショニング協会 企画運営委員)

編集長:大石(建築設備コミッショニング協会 企画運営委員)

 WEB版作成:小澤(建築設備コミッショニング協会 事務局)

 

※本誌に掲載した著作物の著作権は、特定非営利活動法人建築設備コミッショニング協会が所有します。許可無く複写転用することをお断りいたします。

お問合せメール:bsca_mail@bsca.or.jp(@を半角に)

 

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