コミッショニングレターVol.16 No.12(12月号)

2019/12/06掲載

2019年度 CxTE講習会案内

当協会は機能性能試験や運転の最適化などの検証業務を、CxPE(コミッショニング専門技術者)と協力して円滑に実施するCxTE (Commissioning Technical Engineer性能検証専門技術者)の育成を進めています。

CxTEに求められるのは次のような資質と技能です。

1) 性能検証チームの一員としてCA 並びに(CxPE)の指示に従い、コミッショニング業務を遂行できる技術を有する。

2) 計測技術と分析能力に優れ、試運転調整や自動制御の専門的知識を持ち、現場における検証業務を的確に実行できる。

3) データ処理ツールやシミュレーションの活用に優れ、故障検知・診断の専門的知見を持ち、システムの最適化および最適チューニングが実施できる。

4) データ分析の技術と設備システムの知識を幅広く有する。

 

2012年から開催している講習会を本年度は仙台、名古屋、岡山で開催します。(仙台会場及び名古屋会場の講習会は開催済みです。)

講義内容のご確認、並びにお申し込みは下記の協会ホームページよりお願いいたします。

http://www.bsca.or.jp/

 

岡山 講習会

日 付:2020122日(水)

場 所:NPD貸会議室 岡山駅前 地下1階フロアA(岡山市北区下石井1丁目1-3

 

講習は主として2)の資質に長けたCxTE -Aと、3)の資質に長けたCxTE-B2つに分かれており、両方もしくは片方のいずれでも受講可能です。

なお、受講修了された方々は、協会に登録して頂くことができ、登録者数は201812月時点で68名です(ただし、登録にはBSCAの会員になって頂く必要があります)。

登録内容は当協会のホームページ(http://www.bsca.or.jp/cxte/)に掲載しており、Cxの業務実施に必要となる人的リソース情報として広く社会に公開しています。

 

 

 

2019年度 CxTE講習会(仙台)開催報告

CxTE仙台講習会は11 15 日に開催されました。当日は天候も良く遠くの山々がきれいに見える部屋で、たくさんの方が熱心に講習を受講されました。

今年度の講習会も昨年度までと同様に、CxTE の持つべき資質と技能についての講義と必要な技術に関する演習を実施ました。

プログラムとしては午前中にCxTE-A 講習を上谷、田上賢一氏(新菱冷熱工業)、三浦克弘(鹿島建設)が行いました。その後、昼休みを挟んで午後の最初にCxTE-A およびB に共通する全体講習を上谷、次にCxTE-B 講習を田上氏、山田氏(日建設計総合研究所)が行いました。

受講者数はCxTE-Aのみの受講者が5名、CxTE-Bのみの受講者が1名、CxTE-AB の両方の受講者が9名、合計15名が受講されました。

受講者には、修了証書が後日発送される予定です。当協会ではCxTE が世の中に広く認知され、その需要が高まることを目指して、CxTEの経歴を公開する登録制度を運用しています。

昨年度までに61名の方が登録されています。登録内容はCx 業務に必要となる人的リソース情報として公開しております。

CxTE登録申請並びに登録者リストに関しては下記の協会ホームページを参照ください。

  http://www.bsca.or.jp/qualification/cxte.html

 

今回の講習会を通じて、自らの技術がCxTE に要求される資質と技能のレベルを備えていると判断された受講修了者の皆様には、主旨を理解いただきBSCAに登録していただきたいと考えております。登録時にはBSCA への入会もご検討頂けると幸いです。(右上写真は講習会当日の様子)

 

 

建築設備電力研究会 京都駅見学報告

建築設備電力研究会(四国に本支店を置く建設会社、設備機器メーカー等の団体。四国電力株式会社が幹事)による京都駅ビルの見学会を下記の通り開催いたしました。

本会では、京都駅ビル熱源・空調設備省エネ改修におけるコミッショニングの取り組みについて、オーナー側(京都駅ビル開発殿)から「なぜコミッショニングを導入したか。」「コミッショニングがプロジェクトにもたらしたメリット」などについて説明がなされました。CMT側からはコミッショニングプロジェクトの概要や、各フェーズにおける具体的な実施事項を説明しました。

参加者からは、「サブタイトル『100年建築』に込められた思いを教えてほしい。」、「計測ポイントをどのように決定したか。」、「機能性能試験・適正化の段階でのコミッショニングの進め方について詳しく教えてほしい。」、「各フェーズにおけるコミッショニング項目や判断理由について教えてほしい。」などの質問があり、活発な議論がなされました。

机上説明の後には現地見学も行い、熱源機器や中央監視盤を前にして更に具体的な質問が続くなど、参加者の皆さんは大変関心を持たれたようでした。

 

日 時 20191126日(火)133016:30

場 所 京都駅ビル

(京都市下京区塩小路下ル東塩小路町901

◆ 参加者数 23

◆ 講師 ※敬称略

京都駅ビル開発株式会社 高浦 敬之

   BSCA 松下 直幹

2019年度「建築設備士の日」記念事業 講演報告

20191118日(月)に「建築設備士の日」記念行事および建築設備六団体協議会による記念祝賀会が芝浦工業大学(豊洲)において開催されました。記念行事では、本年カーボンニュートラル大賞を受賞した「京都駅ビル熱源・空調設備のカーボンニュートラル化改修工事」について、吉田治典理事長から講演がありました。

 

この記念事業は、建築設備六団体協議会(空気調和・衛生工学会、建築設備技術者協会、電気設備学会、日本空調衛生工事業協会、日本設備設計事務所協会、日本電設工業協会)の主催で、参加者は100名ほど、その内訳は建築設備士の有資格者が多く、コミッショニングにも関心の深い人が多いと思われました。

カーボンニュートラル賞の趣旨は、カーボンニュートラル社会の実現に向けた優れた業績を表彰することで、その意識の浸透と推進活性化を図ることをその目的としています。

講演は45分間でした。以下私の感想ですが、用意されたPPTは20枚以上もあり、時間的に全部を詳しく説明する時間がないため、京都市の環境に対する背景の説明、コミッショニングプロセスにおけるオーナーの要望、コミッショニングチームの連携、などに力を入れて説明されたように見えました。

(写真は講演を行う吉田理事長)

 

■講演内容

2009年、京都市は政府から環境モデル都市に認定され、2050年までに温室効果ガスの削減60%という高い目標を掲げた。京都駅ビルは、2010年に熱源機器の劣化に伴う熱源設備のリニューアル工事の検討が開始されたが、このビルは京都市の民生・業務部門における排出量の3%を占めるという京都市最大のエネルギー消費ビルであり、本ビルにおいても市の目標を上回るカーボンニュートラル化を達成するスキームを創出した。

そして、現存熱源設備の現状調査から始まり、運用に至るまでのコミッショニングが開始された。発注者、運転管理者、設計者、施工者、そしてコミッショニング管理チームからなる推進体制が確立された。現在は、竣工後3年の最適化フェーズが進行中であり、また、二次側空調システムの改修設計が始まっている。また、大温度差供給システムの改善など更なる省エネ化が推進される予定である。                                     

以上

活動実績 活動予定 他

◆協会活動実績 (2019/11)

2019年度 CxTE仙台講習会  1115日(金)

 

◆協会活動予定 (2019/122020/01)

2019年度 CxTE名古屋講習会  126日(金)

2019年度 第4回 企画・運営委員会  1213日(金)

2019年度 CxTE岡山講習会  122日(水)

 

◆編集長より

最近、仕事上で「コミッショニング」という言葉をよく目にするようになりました。ただ、「コミッショニング」という言葉の使われ方が「試運転調整」の意味であったり、「手続き管理、文書管理」を意味する場合が多く見受けられます。コミッショニング行為が一般的になるのは喜ばしいことなのですが、少し複雑な気分です。コミッショニングとは「要求性能の実現を図るプロセス」であることを世間一般に広めていきたいと思います。

 

◆編集委員より

早いもので、今年も終わろうとしています。今年の10大ニュースが話題になるころですが、今年は新しい年号の「令和」の話題が多いかと思います。今月2日からスペイン/マドリードで、COP 25が開催されます。日本は「温室効果ガス排出量を2030年までに2013年比で26%削減する」という目標を掲げていますが、これでは地球温暖化防止には足りない。新しい目標を出そうという方向に向かいつつあります。我々の心がける省エネは世界の目標と比べれば、微力です。しかし、我々の出来ること、コミッショニングを通じて省エネに貢献できることが、最終的に全体最適に繋がるものと信じています。(sy)

 

◆企画制作

 編集長:大石(BSCA企画運営委員)

編集委員:吉田(BSCA企画運営委員)

 WEB版作成:小澤(BSCA事務局)

 

※本誌に掲載した著作物の著作権は、特定非営利活動法人建築設備コミッショニング協会が所有します。許可無く複写転用することをお断りいたします。

お問い合わせメール:bsca_mail@bsca.or.jp(アットマークは半角に)

 

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