コミッショニングとは

建物オーナー向け

コミッショニングとは

建築設備には、建築基準法や省エネ法等に定められた最低限の法定点検や報告義務はありますが、省エネルギーの観点から空調設備等が適正に点検・整備され、適切な状態で維持管理されていることはほとんどありません。いや、現状の性能すら確認されていないケースも多いのが現実です。その結果、ビルオーナーが気付かないまま、エネルギーの浪費を続けている建物が非常に多いことは想像に難くありません。このような現状に対して、コミッショニングとは、建築設備の実際の性能を確認し、本来の性能を実現するために行うプロセスです。

これを車に例えると、コミッショニングはプロの点検・整備に例えられます。車は定期的にプロの法定点検や整備を受けることで、安全性や走行性能が維持されるシステムが確立されていますが、建築設備にもプロによる性能検証と最適調整により、大きな省エネルギー、省コスト、設備の長寿命化が期待されます。コミッショニングには、大きく新築建物に行うものと既存建物のコミッショニングに分かれます。

  • 新築建物のコミッショニングは、設計者の設計業務や設計図書を検証し、また施工者が行う建設業務や設備品質を検証し、必要に応じて性能試験を実施することにより、確実な要求性能の実現を図るプロセスです。
  • 既設建物のコミッショニングは、現状の運用性能を検証・分析し、必要な改修や調整等を提案し、より適切で省エネルギーな運転を実現するプロセスです。空調設備のコミッショニングにより、大きな省エネルギー効果やエネルギーコストの削減を達成した事例が多数報告されています。

コミッショニングの効果

  • 透明性の高いプロセスをとるため、発注者が求める満足度の高い建設プロジェクトが実現できます。
  • 建設プロジェクトにおいて、設計や施工時の手戻り等が少なく、生産性の向上が期待できます。
  • データによる定量的な検証・確認ができるため、省エネルギーの達成と共に確実な性能実現と適切な維持管理を可能とします。
  • 環境負荷削減・省コスト・快適性向上により、不動産価値の増大につながります。自社ビルにおいては、環境負荷削減は企業のCSR戦略上重要な取組と言えます。

ESCOとはどこが違うのか?

ESCOは、消費エネルギー削減のために設備の改修を行い、改修工事後の削減メリットを建物所有者に保証し、ESCO事業者は消費エネルギーの削減メリットから報酬をもらいます。ESCOは、建物所有者にとって改修費用が見かけ上掛からない大変得な仕組みです。

しかし、ESCO事業者は通常10年以上に亘る事業期間中の削減メリットを保証しながら、利益を確保する必要があるので、性能の維持確認がとても重要な作業になります。そのためESCOにおいてもコミッショニングを適用し、しっかりとした性能検証を実施して、省マネーかつ省エネルギーなESCOを目指す必要があります。

省エネ診断とはどこが違うのか?

省エネ診断には、公共団体等の無料サービスとして短時間で行われる簡易なものと施工者等が専門知識とデータ解析力を駆使する本格的な性能診断があります。しかし通常は、省エネの診断を行うことに目的があるので、しっかりとした調査分析による適切な運用改善案や改修案は提示されません。なかには改修工事を前提とした省エネ診断もありますが、その場合、改修工事ありきで、工事に重点がおかれた診断結果と提案になりがちです。診断費用が工事費に含められディスカウントされることもあるようです。

コミッショニングを採用すれば、費用はかかりますが、公平な立場でしっかりとデータを分析し、コミッショニングに特化した経験と技術を用いて、信頼できる運転改善・改修計画提案を得ることができます。

東京都トップレベル事業所認定における位置付け

東京都の環境確保条例(総量削減義務と排出量取引制度)において、都が指定するCO2排出量の大きい大規模事業所のうち、削減対策レベルが特に優れたトップレベル事業所に認定されると、CO2排出量削減義務率が軽減されます。

都は、運用時のエネルギー削減にコミッショニングの効果が非常に高いと考え、トップレベル事業所認定の評価項目に、コミッショニングを位置付けております。新築・増築や空調設備改修時の竣工直後から開始し、1年以上に渡って実施したコミッショニングを評価対象とします。

LEEDにおける位置付け

LEEDはアメリカで開発された環境性能評価格付けシステムで、企業のCSR戦略や不動産価値向上におけるメリットが認識され、世界的に普及が拡大し、我が国での認証例も増えつつあります。

LEEDの評価項目として、エネルギーシステムに関するコミッショニングの項目(必須項目及び選択項目)があり、コミッショニングは重視されています。コミッショニングの実施においては、通常、コミッショニング実施者とコンサル契約を行い、中立的な立場での設計及び施工時の検証が求められます。

CASBEEにおける位置付け

CASBEEは日本で開発された環境性能評価格付けシステムで、我国で広く活用されています。コミッショニングは、CASBEEのエネルギー関係の項目の中で、運用管理体制の項目において評価されます。例えばCASBEEー新築では、エネルギー管理が実施できる組織化された運用管理体制がある上で運用時のコミッショニングが計画されている場合、5段階中の最高ランクとなり、非常に高く評価されます。

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