コミッショニングレターVol.19 No.8(8月号)

2022/08/15掲載

2022年度 CxPE(性能検証技術者)資格研修会

建築設備コミッショニング協会では、コミッショニングの社会的な普及を目的とした活動の一環として、性能検証技術者資格試験制度・登録制度に基づくCxPE(性能検証技術者)の資格登録を行ってきており、現在までに、12回の研修会を実施し105名の方が資格登録者となられています。

今年度は、下記の要領で資格試験を含む研修会を実施いたします。皆様におかれましては、この機会に奮ってご参加いただきますようご案内申し上げます。

 

 

第13回(2022年度) CxPE(性能検証技術者)資格研修会

 

◆開催日程       2022129日(金)~20221210(土)

◆開催場所       大阪市北区堂島浜2-1-25 中央電気俱楽部 317号室

◆定員              15名(先着順)

◆参加費   個人正会員60,000円(賛助会員枠はございません)  

       一般    80,000(1 )

◆申込締切       20221014日(金)

◆主催              建築設備コミッショニング協会

 (*1)資格研修会申込時に個人正会員の申込を行えば、会員の参加費でご参加いただけます。

 

 申し込みは下記HPよりお願いいたします。

  http://www.bsca.or.jp/event/?p=1628

「Cxに関心を持つ者の集い」中止のお知らせ

毎年、空気調和・衛生工学会大会に合わせて開催を重ねてまいりました「Cxに関心のある者の集い」ですが、今年度も中止とさせて頂きます。今年の春先には今年こそは3年ぶりに開催できるものと考えておりましたが、7月以降時の新型コロナウイルスの急激な再拡大を鑑み、中止とすることに決定いたしました。

BSCA会員の方やCxに興味を持つ方と飲み、語らうことができる機会として楽しみにして頂いて方も多いと存じます。来年は4年分の盛大な「集い」にしたいと思いますので、ご期待ください。

CxPE座談会報告 東京 第1回

建築設備コミッショニング協会(BSCA)では、「Cxの普及並びにCxPEの活躍方法に関する意見交換会」としてCxPE座談会を東京(1回)、関西(2回)にて実施いたしました。Cxレターでは全3回のCxPE座談会で議論された内容を下記の通り9回にわけてお伝えします。

今月号はCxPE座談会(東京)の第1回目の内容をお伝えします。

 

Cxレター20222月号 CxPE座談会 関西その1 1回目

Cxレター20223月号 CxPE座談会 関西その1 2回目

Cxレター20224月号 CxPE座談会 関西その1 3回目

Cxレター20225月号 CxPE座談会 関西その2 1回目

Cxレター20226月号 CxPE座談会 関西その2 2回目

Cxレター2022年7月号 CxPE座談会 関西その2 3回目

Cxレター20228月号 CxPE座談会 東京1回目

Cxレター20229月号 CxPE座談会 東京2回目

Cxレター202210月号 CxPE座談会 東京3回目

 

CxPE座談会(東京) 参加者―

伊藤英明(東京電力エナジーパートナー㈱)、佐々木邦治(丸の内熱供給㈱)、梶山隆史(大成建設㈱)、上谷勝洋(東洋熱工業㈱)、河村貢(㈱NTTファシリティーズ)<web参加> 木虎久隆(関西電力㈱)、高草智(㈱森村設計)、竹部友久(㈱日本設計)、柳原隆司(BSCA副理事長)、山田一樹(㈱日建設計総合研究所

 

<はじめに> 

[山田]CxPEの登録者数は多くなったがどのようにこの資格を活かしていくのか、民間企業の中でCxを推進し業務として成立させるための課題等、様々な立場からの意見等を頂き議論を進めていきたい。

また、CM業務委託書(注1)のようなCx業務委託書雛形の必要性についてもご意見を頂きたい。

注1:(一社)日本コンストラクション・マネジメント協会 CM業務委託契約約款・業務委託書

 

<討議内容> 

[柳原]Cxをどう発注していいかという問い合わせがBSCAにもよく来るが、どのくらいの事をどのくらいの費用でしてもらえるのかと必ず聞かれる。これまでの実績から算出するとびっくりされ、立ち消えになってしまう事も多くある。Cxの段階毎の発注雛形があれば、発注する方も入りやすいのではないかと思う。これに限らず日本におけるCxPEの活躍の場に関する意見をもらいたい。

[竹部] 実務の中ではPM(プロジェクトマネジメント)が関わることが多くなっているように感じる。スケジュール管理や予算管理のリスクを回避するため第三者をプロジェクトに入れているがCxがそこにどう絡むかが非常に難しい。どう共存していくかのイメージがわかない。発注者は設計条件を明確にしないで設計を発注していることが多く、設計条件を変えることも珍しくない。きっちりと要求条件を決めてから設計するという事が難しい。設計時点でのCxはそういうプロセスの中に入らなければならないので、意外と難しいと思う。竣工後で各種条件が明確になった後であれば入りやすいと思う。竣工後Cx等で、性能検証という点にフォーカスしていく方が、良いのではないかと個人的には思っている。

[竹部] デザインビルト(DB)が増えており、基本設計まで設計事務所が行い、その後はゼネコンの設計施工という発注形態が増えている。ゼネコンに全部任せようという雰囲気の中で、第三者を入れてCxを行うことはハードルが高いように感じている。

[佐々木]DBになった後、基本設計者は監修者として関わるのではないだろうか。

[竹部]関わる事例は少ないと思う。

[佐々木]発注者側から見ると、工期とコストが守れるかという点で、今のDBのような形態が出てきていると思う。その中で空調だけに特化したCxの有用性を説明するのが難しいと感じている。

[柳原]法律にCxやろうと書いてあるんですよね。

[木虎] 国交省告示第609号 建築物のエネルギー消費性能に関する平成2841日付告示の中に「Cxを実施するよう努めるものとする」と記載されている。

[柳原]Cxを実施するよう努めるものとする」は義務ではないがお薦めということになっている。2050年のゼロミッションに対して、国の対応方針は明確になっていないが、実現するのはかなり困難だと考えている。このような状況であるからこそCxを根付かせる必要があると思う。「性能検証等によって建物がZEBもしくはNearly ZEBである事を確認すること」という法律が、今後出てきそうではある。

[高草] Nearly ZEBとして建設された公立建物の性能検証業務が競争入札にかかっていた。運転データを分析し、設計性能が出ているかを確認する内容であり、設備の改善業務は含まれていなかった。

[竹部]官公庁でもずっとフィーを払ってくれているところもある。補助金を獲得すると報告義務があるため、報告義務のある竣工後3年間はフィーを頂くことでスタートするが、それ以降も継続して欲しいとの要望があった。やってみると良さは伝わると思う。

[柳原]最初にCx費用総額を提示してしまうと、その良さを理解してもらう前に終わってしまう。部分的な金額を提示しCxの良さを理解してもらったうえで追加フィーをもらう方法が良い。

[柳原]空衛学会と共同でVWVシステムの検証を行っている。VWVシステムをきちんと運用できればポンプ動力が激減するのは確実である。これからVAVシステムにも着手予定である。一番熱心なのは、国交省本体ではなく、建築研究所である。建築研究所はエネルギー消費量の削減を目指しており、通常の試運転調整だけではVWVVAVシステムを上手く制御できず、制御出来なければ省エネにならないという意識がある。

[竹部]本来持っている設計性能を正しく発揮するためのプロセスがCxだと説明することは非常に重要な話だと思う。ただ、経験豊富な設計者はきちんとした設計ができるが、未熟な設計者も多い。

 

[竹部] 大量の管理物件を所有している官公庁からZEBについてレクチャーを依頼され相談を受けたが、これからどうして良いかがわからない、ZEBはどうすれば良いのか、ストックに対してどうしたらよいかがわからないという話が出た。いきなり設計依頼をするのではなく現状がどのような状態で、どうあるべきかを明確にすることが重要であり、専門会社にコンサルを依頼したほうがが良いと回答した。

[柳原]計測データがないと何もできないので、当初から計測器を標準的に入れておきなさいという事をどのように推奨すれば良いだろうか。

[佐々木] 2000年代前半の頃のBEMSの補助金効果は大きく、以前は中央監視が入っていてもデータがほとんど残っていない、熱量は計測していない、課金のための電力量は計測しているが熱量データは残っていないというのが当たり前だったのが、2010年くらいからはデータが残っているように思う。

[柳原]アメリカではMBCx(モニタリングベースCx)と言われており、数値がなければ何も出来ないという認識で必ずデータを重視する。ASHRAEスタンダードは空調機廻りにはこういうセンサを付けなさいと書いてあるので、必ず付いているという文化になっている。INVについても制御しようとするモータの出来るだけ直近に設置すると書いてある。優れているといつも感じる。

 

[伊藤]Cxの普及に対して、不動産会社の設計担当者と話をした。インハウスCxの経験がありCxの事をよく理解されており、価値もわかっておられ、品質向上、人材育成という面でCxは非常に有益であるので会社としても、限定的になるかもしれないが、Cxをやっていくという話を聞くことが出来た。デベロッパー、自分の建物を所有している生命保険会社等に、BSCAに携わって頂くことで、Cx普及に関しての情報、課題が明確になり良い方向に進めれば良いと思っている。そのような人を増やしていくことも大切ではないかと感じている。

[柳原]2050年ゼロミッションは国が決めた政策なので、各省庁必ずやらなければならなくなる。その時に第三者的に俯瞰する人が必要である。計測がなければどうしようもない。どのあたりを対策するのか。対策しなければZEBにはならない。前述の不動産会社はインハウスの技術者がいてオーナーでもあり、Cxを行うメリットがあると言っているので、そのメリットを他のオーナーにもわかってもらうにはどうすれば良いのだろうか。

[高草] 以前、空衛学会の委員会で名古屋大学にヒアリングに行ったのだが、名古屋大学は本格的なCx~軽目のCxまで、プロジェクトの難易度などに応じてランク分けをしながら発注していると聞いた。それまでは曖昧な発注の仕方をしていたものを、Cxを担う名古屋大の先生方からこのような発注ではダメだと指摘され、発注者として鍛えられて仕事のレベルが変わったと施設の担当者が言っていた。

[竹部]基本設計時点でレビューを依頼するという形だと費用もかからず、効果も大きいように思う。

設計期間中ずっと対応すると費用がかかるし、一番最初だけ関わると何が出来るかわからない。締めのレビューが落としどころのような気がする。

[山田]設計から出てきたものの妥当性をお客様の立場で、確認してアドバイスするというイメージだろうか。

[竹部] 実施設計段階でレビューして、盛り込めるものは盛り込むというのはあるかもしれないが、大胆な変更は実施設計段階では無理なため、基本設計段階で問題点を洗い出してレビューすることはありえると思う。特に技術力がある会社が設計していない場合、そのような仕組みは有用だと思う。

[山田] 設計事務所、コンサルタント会社等による第三者のレビューに関して、どのような仕組みが出来ると良いか。同業他社のことは気にしないで施主からの依頼であるので、皆で一緒にやっていくというスタンスが取れるのか。

[竹部]忙しい時にそういう仕事を受けることができるかということはあるが、発注者からの依頼であれば、そのようなケースがない事はないと思う。

[梶山]レビューとして受けることが、発注条件として入っているのであれば特に問題はないと思う。チェックしてレビューを出してもらえれば良いが、指摘された内容が発注条件に入っているかが問題となる。前提条件がキチンと書かれていないものに「ここはこうするべきだ」と指摘されると、そこはコストアップだと言わざるを得ない。最初の条件設定が重要だと思う。基本設計段階でのレビューもありうると思うが、その前の段階での前提条件が大事だと思う。

 

CxPE座談会 東京 1回目のまとめと次回の予告

CxPE座談会東京1回目では、PMCMが関与する案件の増加や、DB案件が増加している現状を鑑みてどのようにCxが関わるべきか、また、オーナーのCx理解促進について議論を行いました。来月号ではCxと計測、自動制御に関する議論をお届けします。

活動実績 活動予定 他

◆協会活動実績 (2022/7)

20227月7日(木)  ACSES/Cx公開ワークショップ(第3回)

◆協会活動予定 (2022/82022/9)

2022818日(木) ACSES/Cx公開ワークショップ(第4回)

2022826日(水) 2022年度 CxTE講習会

2022930日(金) 2022年度 第3回 企画・運営委員会

◆編集者より

    一旦は落ち着いた新型コロナウイルスが再び、猛威を振るいはじめました。COCOAの接触通知が届いたり、「○○さんが感染した」と話を聞いたり、身近に迫っていると感じます。救いは増え続けると思っていた罹患者数が落ち着いてきたこと。それでも夏休みは家にこもって過ごします。

 

◆編集長より

    先月号で、新型コロナウイルス「第7波」の感染拡大が始まったことを編集後記に書きましたが、1か月後には、過去最大の感染者数となってしまいました。そのため、今年も「Cxに関心のある者の集い」は中止となりました。来年こそは盛大な「集い」を開催したいものです。

 

   ◆企画制作

編集者:三浦(建築設備コミッショニング協会 企画運営委員)

編集長:大石(建築設備コミッショニング協会 企画運営委員)

 WEB版作成:小澤(建築設備コミッショニング協会 事務局)

 

※本誌に掲載した著作物の著作権は、特定非営利活動法人建築設備コミッショニング協会が所有します。許可無く複写転用することをお断りいたします。

お問合せメール:bsca_mail@bsca.or.jp

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