新長崎県庁舎における機能性能試験実施業務の発注の報告 

2017/05/15 掲載

新長崎県庁舎における機能性能試験実施業務の発注について
長崎県総務部県庁舎建設課  主任技師  佐藤晃平

長崎県では、新県庁舎の整備を進めており、平成29年11月末の竣工に向けて、現在、建設工事は最盛期を迎えています。この新県庁舎の基本構想において、省資源・省エネルギーなど環境に配慮し、他県に先駆けて低炭素社会の実現を目指すための最先端の取り組みを行う庁舎を目指すことを目標に掲げており、コミッショニングはその趣旨に合致した取り組みであると考え、設計フェーズより行政棟・議会棟を対象としたコミッショニングを実施しました。

設計フェーズでは、OPRの実現に向けて、CMTを中心に設計内容のレビューを実施していただきましたが、実際の目標性能の達成可否を確認し、空調運転の更なる適正化を図るためには機能性能試験の実施が重要であると考え、機能性能試験の検証項目や判断基準についても検討を行い、試験の仕様書を作成していただきました。

施工フェーズにおいては、正式なコミッショニングプロセスは踏襲していないものの、施工者の協力のもと、機能性能試験や運用後の検証が問題なく実施できるよう、BEMSの測定ポイントや表示方法について調整をいただきました。そして平成28年12月に「長崎県庁舎空調設備等機能性能試験実施業務」として、新県庁舎の供用開始後1年間に亘り、機能性能試験を実施いただく事業者を選定する入札の公告を行いました。

本業務の入札は総合評価落札方式を適用した一般競争入札であり、これは価格に加えて、業務品質を高めるための新たな技術やノウハウなど、価格以外の要素も含めて、総合的に評価する落札方式です。本業務では、コミッショニングの業務実績のほか、本業務に当たっての実施方針や計測および分析の手法、過去に実施した改善行為などの技術的な提案を求め、3社からの参加表明をいただき、入札の結果、受託者を決定しました。

本業務ではBEMSデータもしくは中央監視データを用いた、熱源・空調システムの検証や、建物の全般的なエネルギー消費の評価のほか、仮設センサーを用いた室内環境の評価など、約40項目におよぶ試験を実施し、新県庁舎の省エネ性能と職員の業務効率を向上させる執務環境の確保を目指します。なお、本業務のプロセスや成果物については、建築設備コミッショニング協会様が発行された「建築設備コミッショニングマニュアル(第3版)」を参考にさせていただきながら、進めていくこととしております。

機能性能試験が無事完了すれば、新長崎県庁舎は企画・設計フェーズから機能性能確認フェーズまで、新築コミッショニングの一連の流れを実施した庁舎となります。コミッショニングの有効性を、本県のみならず、他官公庁へも発信できるよう、目標性能の実現に向けて本業務を推進してまいります。

(当協会コミッショニングレター2017年5月号より転載)

 

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