コミッショニングレターVol.20 No.3(3月号)

2023/03/10掲載

第19期通常総会について

特定非営利活動法人建築設備コミッショニング協会の第19期通常総会と講演会を下記の通り開催予定です。昨年と同様に今年も現地開催+web配信を予定しております。

なお、詳細が決まりしだいCxレター並びにHPにてお知らせいたします。

 

 

日 時   2023515日(月)13時30分 ~

 場 所  TKP新橋カンファレンスセンター 14階ホール14A

東京都千代田区内幸町1丁目3-1 幸ビルディング

https://www.kashikaigishitsu.net/facilitys/cc-shimbashi-uchisaiwaicho/access/

 スケジュール

通常総会   13:3014:30(予定)

講演会     15:0016:45(予定)

技術交流会 17:0019:00(予定) 有料:1名様 5,000

*但し、賛助会員 各法人1名 を無料とします。

 

お申込み・詳細はこちらから

http://www.bsca.or.jp/event/?p=1729

 

2022年度BSCAシンポジウムin関西 開催報告

2050年カーボンニュートラルの実現に向けて様々な取り組みが行われていますが、BSCAでは正しい設計、施工、検証、運用がなされなければ、実際の省エネ・省CO2の実現は難しいと考えています。コミッショニング(Cx)は、そのキープロセスだと考えており、推進活動を続けています。

BSCAでは、毎年Cxの実施例を紹介するシンポジウムを東京、中部、関西で開催しており、215日(水)に「コミッショニングの推進を目指して― 2022年度BSCAシンポジウムin関西 」を開催いたしました。現地会場とWEBとの併用開催とし、現地参加59名、WEB参加37名の合計96名が参加し、講演に耳を傾けました。

 

◆講演1

スマートビルのためのアプリケーションとメタデータ・プラットフォーム活用の期待

東京大学:宮田翔平助教

講演内容

スマートビルとアプリケーションに関して説明があり、不具合検知診断を自動的に行うアプリケーション:FDD (Fault Detection and Diagnosis)やモデル制御(MPC)を紹介頂きました。次にメタデータ・ プラットフォームに関する説明があり、BEMSデータに関して、蓄積・見える化までで、分析がなされていないという現状の問題点と、メタデータ(データのためのデータ)とAI利用による解決案並びにCxへの展開が説明されました。最後に今後の期待として、膨大なデータをクラウド上にメタデータとして蓄積し、アプリケーションにより分析し、不具合検知や省エネ推進の可能性について説明がありました。

◆講演2

クラウドを用いた統合ワークプレイス管理の実現について

パナソニック㈱:谷川匡・鈴木勇至

講演内容

  クラウドを用いた統合ワークプレイス管理システムについて紹介がありました。クラウドの発達によりBEMSやセキュリティシステムなどの設備システムと、ファシリティマネメントや予約システムなどのオフィスシステムの統合が可能で、両者間のデータを共用することにより、在室情報による外気量制御や照明制御などの新しい省エネ制御が可能になるとの説明がありました。クラウドを利用したBEMSなども一般的になってきているので、今後の普及に期待したいと思いました。

◆講演3

立命館慶祥中高熱源空調改修プロジェクトのトータルコミッショニング  

 ㈱コミッショニング企画:松下直幹 学校法人立命館:坂本英彦

講演内容

立命館慶祥中学高、高等学校の熱源空調改修プロジェクトのCxについて説明がありました。まずはコミッショング企画の松下氏より、Cxについて調査企画フェーズから施工フェーズまでの説明があり、その後、現在実施中の機能性能確認、適正化フェーズの詳細説明がありました。機能性能確認、適正化フェーズの詳細説明には、興味を惹かれました。次に学校法人立命館の坂本氏よりCxの有用性に関して説明があり、その後Cxについて「Cxは設計者、施工者、運転管理者などすべての関係者のポテンシャルを発揮させる添加剤的なツールと感じた」との所感を述べられました。最後にCx成果の数値化が必要との話がありましたが、同感だと思いました。

◆講演4

ゼネコン主導のインハウスコミッショニング事例(須磨水族園リニューアル工事)

 ㈱竹中工務店:前田龍紀

講演内容

  須磨水族園リニューアル工事におけるインハウスCxに関して説明があり、設計段階よりインハウスCxを採用することにより、徹底した事前検証、事後検証が可能であり、複雑な空調システムを確実なものにできるとの説明がありました。また、インハウスCxの採用により設計者の技術力向上や設計施工品質の確保、機器メーカーの早期参画による優良機器の採用など、様々なメリットが生まれることの説明がありました。この講演を拝聴し、従来とは異なる方式のCxであるインハウスCxの有用性を再認識しました。

◆講演5

髙島屋グループのコミッショニング展開(全店舗の既存・新築・継続Cx展開)

 東神開発㈱:清沢知成

 講演内容

髙島屋グループのCx展開について説明があり、各店舗におけるCxの採用状況と今後の予定について紹介がありました。また、Cxに対するオーナーサイドから見た懸念点や、社内での認知方法などが紹介されました。髙島屋グループではCxの有効性を認識されており、今後もCxを推進してゆくとのことでしたので、今後の展開に大いに期待をしたいと思います。

 

◆パネルディスカッション (回答者の敬称は略させて頂きました)

コーディネーター 京都大学名誉教授:吉田治典

 Q1FDDの実証例で15分データを利用されていますが、10分データとしていない理由があればお教えいただきたい。

 A1:データ量を考えて15分データを利用した。データとして問題ないと考えている。なお、1分データで無ければ見えない現象もあると考えている。(宮田)

Q2:メタデータとビックデータは同じものでしょうか。

A2:メタデータはビックデータがどういうデータか説明する言葉と考えて頂きたい。(宮田)

Q3:学校法人立命館ではCx導入を積極的に行うとのことですが、きっかけを教えて頂きたい。

A3:本日、紹介させて頂いた慶祥中高熱源空調改修がきっかけです。(坂本)

Q4:慶祥中高熱源空調改修において凍結防止制御システムの改善などを行われたとのことですが、どのようなことをおこなわれたのでしょうか。また、設計外気温度をどのように設定されましたか。

A4:凍結防止制御に関しては、安全率の設定値を低くした。(松下)

A4:設計外気条件は江別市の気象庁アメダスデータを用いて設定した。(小林)

Q5:髙島屋グループのCx展開で、Cxを導入推進するためには経営層へ数値を提示することが重要とお話がありましたが、今後どのように展開予定でしょうか。

A5:具体的な方法は模索中だが、改修案件の実績数値をベースとし、Cxを導入した場合、どれだけランニングコストが少なくなるかを算出することを考えている。(清沢)

Q6Cxとエスコ事業を比較すると、エスコ事業は経済性で成立し、Cxは性能確保だと考えますがいかがでしょうか。

A6:エスコ事業とCxは目的や概念が違うため一緒に考えるべきではない。エスコ事業とCxを同一視されるのは残念である。(吉田)

Q7CMTを増やすために何が必要と考えていますか。

A7:会社に所属しているCxTECxPEができれば企業に所属しながら個人として独立し、CMTを目指して欲しいと考えている。(吉田)

A7Cxがどのようなものかを把握していただき、建物建設プロセスにおいてCxを実施する機会が多いことを認識して頂ければ、CMTを目指す人材も多くなるのではないかと考えている。(松下)

 

その他のコメント

・須磨水族園リニューアル工事でオーナーが参画していないが、今後、オーナーも一緒にCxに取り組んで欲しい。(吉田)

Cxはオーナーも加わりチームでやる作業です。「省エネはチャレンジしないとできない」と松下氏の言葉に感動しました。(清沢)

・自動制御メーカーも活躍できる場があると実感しました。(A社)

 

 

活発な質疑回答が行われたパネルディスカッションとなりました。右下の写真がパネルディカッションの様子です。

空気調和・衛生工学会「コミッショニング賞」のご案内

公益社団法人空気調和・衛生工学会において、『コミッショニング賞』が新たに創設されました。

 

本賞は、空気調和設備を中心とする建築設備システム、地域エネルギーシステムの品質向上、省エネルギー性能、環境保全性能の向上を目指したコミッショニングの分野で特に優秀な業績に対して賞を贈って表彰し、これを関連分野に広く紹介することによりコミッショニングの正しい普及を促進することを目的としています 。

 

本賞は、コミッショニング関する業績に関わった個人または団体を表彰する制度とされており、対象となる業績は、以下となります。

1)建築設備システム及びこれらを含む建築の品質向上、省エネルギー性能・省CO2 をはじめとする環境保全性能の向上を実現した優秀なコミッショニング業績

2)地域エネルギーシステム及びこれらを含む地域の品質向上、省エネルギー性能・省 CO2 をはじめとする環境保全性能の向上を実現した優秀なコミッショニング業績

)コミッショニングプロセス管理、データ収集・処理・分析、シミュレーション、不具合検知・診断支援、最適チューニングなどを支援することを目的に作成され、様々なプロジェクトで活用されて、コミッショニングプロセスの効率化や高品質化などに貢献したコミッショニングツール

4)その他上記と同等のコミッショニングの適正な普及に資する業績

 

20236月に募集を開始し、2024年の総会にて表彰式を行う予定です。BSCA会員の皆様においても応募のご検討をお願い致します。

 

本賞の詳細については下記の空衛学会ホームページをご参照ください。

http://www.shasej.org/award/newcx.html

 

活動実績 活動予定 他

◆協会活動実績 (2022/2)

2023210日(金) BSCA5回企画運営委員会

2023215日(水) 2022年度 BSCAシンポジウムin関西

◆協会活動予定 (2023/32023/4)

2023410日(金) BSCA1回企画運営委員会

◆編集者より

    春が近づき目も鼻もむず痒い季節がやってきました。母校の小学校で窓開け換気状況について継続的にモニタリングしているのですが、子供たちはLEDランプの濃度表示を見ながら素直に窓の開閉をしてくれています。そんな姿を見ながら、最近の小学生の花粉症対策はどうなんだろう?とふと思ったりしています。今後、マスク着用も個人判断となるということですが、窓開け換気により花粉症の小学生が辛くならないように考えないといけないのかなぁ・・・?とコロナや増エネ以外の要因を少し考えてしまう今日この頃です。

◆編集長より

    2月15日に2022 年度BSCAシンポジウムin関西が開催されました。現地参加者も59名となり、熱気が感じられるシンポジウムとなりました。現時点ではコロナ罹患者の人数も減ってきており、やっと普段の日常が戻りつつあることを実感しています。3月からはマスク着用も個人判断になりそうですので、いつもの夏が迎えられそうで楽しみです。

    閑話休題

    久しぶりに京都の寺社を散策し40年ぶりぐらいに鹿苑寺に行きました。天気も良く、まるで絵画のように綺麗でした。(下写真)

 

   ◆企画制作

編集者:天野(建築設備コミッショニング協会 企画運営委員)

編集長:大石(建築設備コミッショニング協会 企画運営委員)

 WEB版作成:小澤(建築設備コミッショニング協会 事務局)

 

※本誌に掲載した著作物の著作権は、特定非営利活動法人建築設備コミッショニング協会が所有します。許可無く複写転用することをお断りいたします。

お問合せメール:bsca_mail@bsca.or.jp(アットマークを半角に)

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