コミッショニングレター2026年2月号(Vol.23)

2026/02/10掲載

BSCAシンポジウムのお知らせ

 「コミッショニングで実現する既存ビルの省エネ―診断ツールから日米の最新事例まで―」

建築設備コミッショニング協会では、国土交通省のご支援・ご協力のもと、令和6年度にCxプロセスの有用性を建物所有者にご理解いただき活用していただくことを目的に「建物所有者向けの建築設備コミッショニングガイドライン」を作成いたしました。そして今年度は、ガイドラインを活用し建物所有者の方々にCxの有用性を理解していただくための広報活動を行い、またCxプロセスを既存建物へ活用していただくために必要なツール、文書、情報の整備をし、さらにCx実施体制の強化についての検討を行いました。

本シンポジウムでは広報活動の概要やご聴講の皆様からのお声、Cx実施判断の目安となる建物診断ツール、既存建物Cxプロセス活用の事例やCx先進国である米国でのCx事情について紹介いたします。

 

■日程

202634()  シンポジウム:14:30~17:45  交流会:18:0020:00

■場所

 シンポジウム:東京大学工学部1号館 15号講義室(東京都文京区本郷7-3-1

 交流会:伊藤国際学術研究センター 多目的ホール(東京都文京区本郷7-3-1

■定員

 現地80名+ZOOM (申し込み締切り2026226()

■参加費(会員、非会員)

シンポジウム:無料、交流会:7,000

 ■プログラム

14:30-14:35:開会の辞 奥宮正哉(BSCA理事長)

14:35-14:40:ご挨拶 国土交通省(予定)

14:40-14:45:趣旨説明 赤司泰義(BSCA副理事長、東京大学教授)

14:45-15:15:建物所有者へのCx広報活動 浅利直記(森ビル()

15:15-16:00:建物所有者のためのCx事例、Cx文書事例、建物診断ツール 高草智(㈱森村設計)

16:00-16:10:休憩

16:10-16:50:米国でのCx事情および国内Cx普及のための実施体制強化 奥宮正哉(BSCA理事長、名古屋大学名誉教授)

16:50-17:00:空気調和・衛生工学会コミッショニング賞の紹介

17:10-17:40:質疑応答・ディスカッション 赤司泰義(前出)、講演者

17:40-17:45:閉会の辞 浅利直記(前出)

 

下記HPよりお申込み下さい。

https://www.bsca.or.jp/event/?p=2108

2025年度 BSCAシンポジウム in 中部 開催報告

CxPE 田上 賢一

2026130日(金)に2025年度シンポジウムin中部「-コミッショニング・プロセスの適用による運用エネルギーの適正化-」が、会場参加とオンライン参加のハイブリッドで開催された。参加者は講師3名、現地参加47名、オンライン参加者41名の合計88名だった。

山羽副理事長の挨拶とシンポジウムの主旨説明があり、前半では基調講演が行われ、休憩を挟み後半は、2つのCx事例の講演が行われた。

最後に、シンポジウムの3名の講演者と設計・施工者役割として丸水設備(株)の水野孝政氏を加え計4名のパネリストとし、山羽副事理長の司会により参加者からの質疑応答に続きパネルディスカッションが行われた。会場らの質問に加えWeb参加者からの質問に対する回答を行い、本シンポジウムのメインテーマである「コミッショニング・プロセスとそれに必要な文書管理の事例」について討議を行った。

交流会では24名の参加者が集まり、4名の講師を招き、シンポジウムを振り返りながら交流を深めた。

 

■基調講演:「立命館大学の施設マネジメントにおけるCx導入」近本智行氏(立命館大学理工学部)

   立命館大学では、サステナビリティ方針のもと、複数キャンパスにおける施設マネジメントとエネルギー管理を推進し、Cxを段階的に導入してきた。特に北海道の附属校や琵琶湖草津キャンパスでは、調査・設計・施工・運用まで一貫したCxプロセスを適用し、OPR(設計要件)や特記仕様書、試験結果などを徹底的に文書化したことが大きな特徴である。担当者の異動が多い大学組織において、属人化を防ぎ、知識と判断根拠を文章として蓄積・共有することで、設計意図の伝達、施工品質の確保、運用段階での不具合把握と改善が容易になった。結果としてCO₂削減効果だけでなく、発注者・設計者・施工者が共通理解を持つ体制が構築され、施設管理の継続性と透明性が高まった。

 

■講演1:「大規模改修におけるフルコミッショニングの意義― 立命館大学の設備改修事例を通じてー」

松下直幹氏(()コミッショニング企画)

   立命館大学の既存建物改修を事例に、Cxにおける文書作成・管理の重要性を示した。Cxは完成物の検査ではなく、企画から運用までを通じた品質管理プロセスであり、その中核が文書化にある。調査段階では現状課題をデータとエビデンス付きで報告書にまとめ、OPRとして設計要求を明確化する。設計段階では試験方法や評価基準を特記仕様として整理し、施工段階では発生した課題と対応をイシューログとして記録する。さらに運用段階では制御動作説明書や運転管理指針を整備し、属人化を防ぐ。これら文書とデータの蓄積・継承により、設計意図の共有、改善機会の喪失防止、長期的な性能確保と省エネ効果の実現が可能となる。文書とデータは成果そのものであり、コミッショニングは失敗を防ぐための投資であると結論づけた。

 

■講演2:「大規模複合都市開発におけるトータルコミッショニング」李 小平氏(森ビル(株))

麻布台ヒルズを例に、大規模複合開発におけるトータルCxの実践を、特に文書管理の観点から整理した。企画段階で開発コンセプトと社会要請を反映したOPRを策定し、これを全フェーズの起点かつ最終目標として一貫管理した。設計・施工・運用の各段階では、OPR、設計趣旨書、動作説明書、運転管理指針、試験報告書などを体系的に作成・更新・共有し、設計変更や社会情勢の変化にも追従可能な情報基盤を構築した。特に施工・運用段階では、検証結果や調整履歴を文章化して蓄積し、運営者へ確実に引き継ぐことで、性能確保と省エネ改善の継続性を担保した。文書管理を軸に関係者の認識を揃えることで、高い環境性能と事業価値の両立を実現した。最後に各フェーズに登場する担当者からの声を整理し、オーナーからはCxを取り入れる事で建物の性能と価値の最大化に取り組むことが出来たと結論づけた。

 

■パネルディスカッションの討議の要点

パネルディスカッションでは、コミッショニング技術者(CA)と関係者が対話を重ねる体制の重要性が確認された。立場や背景を理解し意見を尊重することで協力が促進される。文書化は成果や貢献を可視化し、要件・目的を明確にすることで設計判断を容易にし、設計・施工・運用まで一貫した検討を可能にする。さらに、文書の電子的管理や、費用評価ではCO₂削減や人材育成といった中長期的価値を重視すべき点が示された。

文書管理については、企画段階で作成する企画書やOPRが極めて重要であり、これを軸に設計・施工・運用へ一貫して継承することが成果につながると共有された。一方で、文章の定型的な雛形が無い中で、プロジェクトごとに目的や条件に応じて内容を調整する実態も明らかになった。具体的な管理手法としては、クラウドを活用したペーパーレス管理、フォルダ構成ルールの明確化、常に最新版を参照できる仕組みが有効とされた。文書を通じて目的・目標を明確化し、関係者間の理解と協働を促すことが、Cx成功の鍵であると総括された。

建築設備コミッショニングマニュアル第5版発刊のお知らせ

 建築設備コミッショニング協会では「建築設備性能検証マニュアル」をコミッショニングのプロセスと技術の両面から解説する実務テキストとして2010 10 月に創刊しましたが、2021年にマニュアル改定WGを立上げ、理想と実態を整合させるという観点からコミッショニング・プロセスの見直しについて議論し、「建築設備コミッショニングマニュアル第5版」として発刊・販売することになりました。

 

■ 概要

 ◇総ページ数 A4169ページ

印刷冊子に付録としてCD-ROMを添付します。

 ◇内容

  第1章 建築設備とコミッショニング

  第2章 コミッショニング業務の概要

  第3章 新築建物のコミッショニング(新築Cx

  第4章 既存建物のコミッショニング(既存Cx

  第5章 継続コミッショニング(継続Cx

  Appendix コミッショニングにおけるツール活用

■ 販売価格

1) 個人版価格:個人会員 10,000円(+消費税と送料) 注)非会員向けの販売は行いません。 

・ご購入された方のみでご使用ください。

・個人会員が、2つ以上購入することはできません。

・会員本人名宛ての領収書以外は発行いたしません。

2) 法人版価格:賛助会員 30,000円(+消費税と送料) 

一般   60,000円(+消費税と送料) 

※冊子+CD3セット送付します。4セット以上希望の場合は要望に応じて、

賛助会員10,000/セット、一般20,000/セットで追加できます。

・組織でご利用される場合は法人版でのご購入をお願いします。

■ 作成・編集  NPO法人・建築設備コミッショニング協会

CDのパスワードは当協会が購入者名で登録管理し、譲渡・転売されると失効します。

■ 購入申し込み方法

・下記の当協会ホームページよりお申込下さい。

    https://www.bsca.or.jp/library/store.html

活動実績 活動予定 他

◆協会活動実績 (2026/1)

2026123日「コミッショニング」で実現する既存ビルの省エネセミナー

2026130日 BSCAシンポジウム in 中部

◆協会活動予定 (2026/22026/3)

 2026224日 BSCA5回理事会、第5回企画運営委員会

2026年3月4日 BSCAシンポジウム「コミッショニングで実現する既存ビルの省エネ―診断ツール

から日米の最新事例まで―」

◆編集者より

年末年始をゆっくり過ごし、2026年が始まるやいなや1/3にアメリカがベネズエラに軍事攻撃しベネズエラ大統領を拘束。1/23には高市首相が通常国会冒頭で衆議院解散を表明しました。衆議院が解散し衆院議員の就職活動が始まり連日選挙カーを至る所で見かけます。つい先日だと思ったお正月が何処か飛んで行ってしまいました。2026年の始めがこれですから、この先どうなるのでしょうか? 

平和で静かな1年となるよう祈るしかありません。

◆編集長より

  先日帰省したおりに久しぶりに高知城を訪れてみました。これまで、お城の近くまで行くことは度々あったのですが、追手門をくぐるのは30年ぶりぐらいでした。高知城は追手門と天守が残っている稀なお城のようですので、高知を訪れる機会がありましたら、是非、お立ち寄りください。右下写真の位置が最高の撮影ポイントです。

  ◆企画制作

   編集者:田上(建築設備コミッショニング協会 企画運営委員)

      編集長:大石(建築設備コミッショニング協会 企画運営委員)

   

※本誌に掲載した著作物の著作権は、特定非営利活動法人建築設備コミッショニング協会が所有します。許可無く複写転用することをお断りいたします。

お問合せメール:bsca_mail@bsca.or.jp

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