コミッショニングレターVol.25 No.12(12月号)
2025/12/15掲載
- 2025年度 BSCAシンポジウム in 中部
- 「コミッショニング」で実現する既存ビルの省エネセミナー
- 建築設備Cxマニュアル第5版発刊のお知らせ
- 2025年度 BSCAシンポジウムin東京 開催報告
- 活動実績 活動予定 他
2025年度 BSCAシンポジウム in 中部
2026年1月30日(金)に「BSCAシンポジウムin中部 -コミッショニング・プロセスとそれに必要な文書管理の事例-」を開催いたします。
昨年度のシンポジウムでは、Cx事例についての講演、本協会の専門家や実務経験者の方々によるパネルディスカッションによって、コミッショニングのプロセスにおいて「何を、何時、どのような手順で、誰が参加して行い、どのような文書を作成すべきか」について討議をしました。今回はテーマを文書管理を中心とする内容で企画いたしました。
今後のコミッショニングの正しい普及のための知見を得る貴重な機会となり、今後コミッショニングを実施しようと考える人への一助になれば幸いです。皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。
開催日程:2026年1月30日(金)
シンポジウム13:30~16:40 交流会 17:00~19:00
開催場所:ウインクあいち(愛知県名古屋市中村区名駅4丁目4-38)
シンポジウム会場:11階1107会議室 小会議室A
定員 :75名(現地:45名、オンライン形式:30名)
参加費 (会員):正会員・賛助会員5,000円 (交流会 5,000 円)
(一般):10,000円 (交流会 5,000 円)
(学生): 1,000円 (交流会 5,000 円)
主催 特定非営利活動法人 建築設備コミッショニング協会(BSCA)
協賛 空気調和・衛生工学会中部支部、日本建築学会東海支部、建築設備技術者協会中部支部
愛知県設備設計監理協会 (予定)
プログラム
司会 田上賢一(BSCA理事)
13:30~13:35 趣旨説明 山羽基(BSCA副理事長)
13:45~14:25 基調講演「立命館大学の施設マネジメントにおけるCx導入」
近本智行(立命館大学理工学部)
14:25~14:35 休憩
14:35~15:10 講演1:「大規模改修におけるフルコミッショニングの意義― 立命館大学の設備改修事例を通じてー」 松下直幹((株)コミッショニング企画)
15:10~15:45 講演2:「大規模複合都市開発におけるトータルコミッショニング」
李 小平(森ビル(株))
15:50~16:40 質疑応答・パネルディスカッション
司会:山羽基(中部大学工学部)
パネラー:(近本智行、松下直幹、李小平+他)
申し込みは下記BSCAホームページよりお願いいたします。
「コミッショニング」で実現する既存ビルの省エネセミナー
昨年度、当協会では国土交通省のご支援の下、既存ビルの脱炭素化・省エネ化をより一層推進するため、コミッショニング(以下Cx)の有効性や、進め方などを紹介するために「建物所有者向けの建築設備コミッショニングガイドライン」を作成し、公開しました。
本ガイドラインは公開後に多くの皆さまにご活用いただいていますが、Cxについてさらにご理解を深めて頂くために、本ガイドラインの解説や好事例を紹介するWEBセミナーを開催いたします。
皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。
■イベント概要
1.日 時:2026年1月23日(金) 13:30~15:00
2.開催方法:WEBセミナー
3.参 加 費:無料
4.講師 :NPO法人 建築設備コミッショニング協会
副理事長:赤司 泰義様(東京大学教授)
5.講演内容:(1)「コミッショニング」で実現する既存ビルの省エネセミナー
(2)質疑応答
6.定 員:制限なし
ご参加を希望される方は、下記ホームページよりお申込み下さい。
建築設備Cxマニュアル第5版発刊のお知らせ
建築設備コミッショニング協会では「建築設備性能検証マニュアル」をコミッショニングのプロセスと技術の両面から解説する実務テキストとして2010 年10 月に創刊しましたが、2021年にマニュアル改定WGを立上げ、理想と実態を整合させるという観点からコミッショニング・プロセスの見直しについて議論し、「建築設備コミッショニングマニュアル第5版」として発刊・販売することになりました。
■ 概要
◇総ページ数 A4判169ページ
印刷冊子に付録としてCD-DOMを添付します。
◇内容
第1章 建築設備とコミッショニング
第2章 コミッショニング業務の概要
第3章 新築建物のコミッショニング(新築Cx)
第4章 既存建物のコミッショニング(既存Cx)
第5章 継続コミッショニング(継続Cx)
Appendix コミッショニングにおけるツール活用
■ 販売価格
1) 個人版価格:個人会員 10,000円(+消費税と送料) 注)非会員向けの販売は行いません。
・ご購入された方のみでご使用ください。
・個人会員が、2つ以上購入することはできません。
・会員本人名宛ての領収書以外は発行いたしません。
2) 法人版価格:賛助会員 30,000円(+消費税と送料)
一般 60,000円(+消費税と送料)
※冊子+CDを3セット送付します。4セット以上希望の場合は要望に応じて、
賛助会員10,000円/セット、一般20,000円/セットで追加できます。
・組織でご利用される場合は法人版でのご購入をお願いします。
■ 作成・編集 NPO法人・建築設備コミッショニング協会
・CDのパスワードは当協会が購入者名で登録管理し、譲渡・転売されると失効します。
■ 購入申し込み方法
・下記の当協会ホームページよりお申込下さい。
2025年度 BSCAシンポジウムin東京 開催報告
馳平・高橋・伊藤
2050年カーボンニュートラルの実現が宣言され、省エネルギーの徹底と再生可能エネルギーの最大限活用が求められています。実効性ある達成に向け、建築設備の性能を確実に発揮させるコミッショニング(以下、Cx)の重要性は一層高まっています。こうした中、「2025年度 BSCAシンポジウム in 東京-コミッショニングの推進を目指して-」を2025年11月13日(木) に開催し、会場参加42名、リモート参加43名の計85名(申込時点)が講演に耳を傾けました。
■基調講演:まちづくり視点で考える公共交通の運用改善 ― オンデマンド交通・EVから空飛ぶクルマまで
株式会社日建設計総合研究所 今枝秀二郎氏
深刻化する運転手不足や交通空白の広がりに対し、AIオンデマンド交通を核とした甲斐市・伊那市の実証事例を軸に、技術・制度・現場運用を横断する実装の方向性が示されました。また、EV(電気自動車)化やAAM(Advanced Air Mobility:空飛ぶクルマ)の可能性と課題にも触れ、設計—施工—運用を貫くCxの視点で現場改善を迅速に回す重要性、ならびに大阪・関西万博を契機とした実装加速への期待が示されました。質疑では、人流データを理想的に計測・分析できた場合のCxへの活用などが議論されました。
■講演1:急性期病院における竣工後 1 年間のコミッショニング
株式会社 安藤・間 建設本部 建築設計統括部 環境建築設計部 高瀬知章氏
熊本の急性期病院を対象とした運用段階Cx事例が紹介されました。設計性能の確認と省エネ余地の抽出に焦点を当て、関係者協働で季節別の機能試験と改善を実施しました。二次ポンプ差圧制御やインバータ設定、外気量・送風量、運転時間、供給温度の最適化によるポンプ動力削減や、厨房系統の送風温度緩和による熱負荷低減など空調起因エネルギーの削減を行い、継続的な性能検証と改善プロセスの有効性が示唆されました。質疑では、Cx普及の観点からの発注形態・費用対効果、ES事業者を含む体制・役割分担、病院特有の院内調整とリスク管理、外気処理系の最適化について活発に議論されました。
■講演2:品川区環境学習交流施設エコルとごしにおける運用評価
株式会社松田平田設計 総合設計室 環境設計部 伊藤安里氏
品川区の環境学習施設を対象とした運用段階Cxの取り組みが紹介されました。設計段階でNearly ZEB認証を取得し、運用段階ではクラウド監視の活用と月次の運用会議の実施によりPDCAを3年間継続しました。地中熱HPチラーでは稼働率を高めるための運用設定の改善や、空調負荷特性に応じた輻射空調の季節・時間帯別の細かな制御を行うなど、無駄のない運用を図りました。併せて夏季・冬季には室内環境測定を実施し、温湿度・CO₂などが適正に保たれていることの確認を行い、利用者アンケートでも概ね快適との回答が得られました。これらより、省エネと快適性を両立するZEB運用モデルとしての有効性が示されました。質疑では、自治体におけるCxの導入経緯や設計者によるCx評価の第三者性などが取り上げられました。
■講演3:ASHRAE Technology Award受賞 新菱神城ビルで実施したCxと成果
新菱冷熱工業株式会社 丸の内支社 技術一部 坂本裕氏
自社ビルでの運用段階Cxと技術検証の事例が紹介されました。放射空調と変風量空調システムを併設し、快適性と省エネ性を比較検証しました。ダイナミックレンジ放射空調システムは、放熱パネルの特性を活かした独自の還水温度カスケード制御とVWV-VT制御により、送水温度レンジを高く・温度差を小さく保つ運転を実現しました。これにより冷房時のフリークーリングによる冷却塔利用率を大幅に向上させ、省エネを達成しました。変風量コアンダ空調システムは変風量でもコアンダ効果を維持できる自律式風速一定器具を開発し、大幅な省エネルギーを実現しています。また、クラウドBEMSやVBA・AIの活用による分析効率化も含め、Cxが技術開発と省エネ深化に有効であることを示しました。質疑では、機器性能の事前検証と実運用での性能乖離の是正、外気処理方式の見直しを含む運用段階Cxの体制・コスト妥当性が議論されました。
シンポジウム後の技術交流会には28名が出席し、講演内容やCxに関する意見交換が活発に行われ、非常に有意義な場となりました。
シンポジウムスケジュール
13:30~13:40 趣旨説明 BSCA副理事長 赤司泰義氏
13:40~14:40 基調講演 「まちづくり視点で考える公共交通の運用改善 ― オンデマンド交通・ EVから空飛ぶクルマまで」
株式会社日建設計総合研究所 今枝秀二郎氏
14:40~15:20 講演1 「急性期病院における竣工後 1 年間のコミッショニング」
株式会社安藤・間 建設本部 建築設計統括部 環境建築設計部 高瀬知章氏
15:25~16:05 講演2 「品川区環境学習交流施設エコルとごしにおける運用評価」
株式会社松田平田設計 総合設計室 環境設計部 伊藤安里氏
16:05~16:45 講演3 「ASHRAE Technology Award受賞新菱神城ビルで実施したCxと成果」
新菱冷熱工業株式会社 丸の内支社 技術一部 坂本裕氏
17:30~19:30 技術交流会
活動実績 活動予定 他
◆協会活動実績 (2025/11)
2025年11月13日 BSCA Cxシンポジウムin東京
◆協会活動予定 (2025/12~2026/1)
2025年12月19~20日 第15回CxPE(性能検証技術者)資格研修会
2026年1月23日「コミッショニング」で実現する既存ビルの省エネセミナー
2026年1月30日 BSCAシンポジウム in 中部
◆編集者、編集長より
今年も残すところ1か月となりました。2025年は国内で気候変動が原因と思われる災害などが多数発生した年となりました。1~3月にかけて大規模林野火災が大船渡市、岡山市、今治市他で発生し、8月には全国規模で大雨による洪水被害が発生しました。また、例年通りかもしれませんが6~9月は、国内各地で最高気温、連続真夏日日数等の記録が更新されました。海外でもハリケーン、サイクロンによる大規模な災害が報告されました。来年も今年以上の大規模災害が発生するものと思われます。
GHG(温室効果ガス)排出に関して、もっと厳しいルール作りが必要ではないでしょうか。
◆企画制作
編集長:大石(建築設備コミッショニング協会 企画運営委員)
編集者:大石(建築設備コミッショニング協会 企画運営委員)
※本誌に掲載した著作物の著作権は、特定非営利活動法人建築設備コミッショニング協会が所有します。許可無く複写転用することをお断りいたします。
お問合せメール:bsca_mail@bsca.or.jp

