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CA資格検討委員会の発足(20097)

 性能検証過程の普及と、それを受けて立つ技術者の育成、資格認証とは適切な歩調を揃えて進行していかねばならない。前者についてはその必要性が広く認識されつつあるが、ビルのライフサイクル性能の定義と確保、その確実なる実現のプロセスの適用に実際に足を踏み込むには数多くのネックが有って、一気呵成に普及することはあり得ないのが現実である。然しながらエネルギーや地球環境問題、都市のヒートアイランドや社会資産としての建築の品質保持への客観的要請は非常に強く存在するから、必ずやいろいろな形で採用されることになる。その時に信頼性のある技術者を提供できなければ本協会の役割を全うしていないことになるので、協会内部ではすでに資格分科会を設けて活動を始めていたが、20097月より、協会外部の委員を含めた性能検証資格検討委員会を発足させ、資格体系や研修コース、教材としてのマニュアル等の整備を、既に実施してきた内容を含めて集大成し、資格認証制度を発足させる準備活動を開始した。

 

1.検討委員会設立趣旨

[空気調和設備の当初性能検証過程(コミッショニングプロセス)実行マニュアル、人材育成用テキストの作成計画]

わが国では建築物が企画されるとき、環境・エネルギーの性能に関する要件が明確に示されないままに設計発注されるケースが多く、そのため竣工後の健康・快適性に問題が生じたりエネルギー多消費に悩むことが多い。省エネルギーと地球温暖化抑制(CO2排出量低減)への要請はますます強く、いまや建築民生部門における省エネ・省CO2の確実な実現が求められて居る。

 一方、設計者、施工者も低コスト短期間が一義的に要請されることが多く、好むと好まざるにかかわらず設計品質の低下、試運転調整の不十分、竣工後のフォローアップの不足などが重なり合って問題を増幅している。

 さらに建築士法改正により従来建築設備士が担っていた設備設計・監理を、限られた数の一級建築士が背負わねばならず、設計品質の低下はさらに増大する可能性が高い。この時に当たって建築主が真に環境・エネルギー性能の良い建築物を求め、その実現を望む時、任意ではあるがオーソライズされた性能検証技術者の協力の下に環境・エネルギー・CO2発生の要件を明確にし、設計・施工・運転を通じての性能の検証プロセスを明示し実践することが必要であり、この検証行為を管理・実行できる人材を育成することの必要性がますます強まっている。

 このようなコミッショニングプロセスは、部分的な適用事例を含めても今までわが国では極めて少数の実例しかなく、早急な人材育成と実行マニュアル(各種の文書テンプレート、文書実例、ツールなどを含む)の作成が急務である。また国際的にはIEA(国際エネルギー機関)の共同研究テーマとして10年以上関連研究を続けており、日本からも多数の期間・研究者が参加し、内外ともにコミッショニングへの期待が高まっている。

 コミッショニングプロセスの適用と各種資料の作成、人材育成と資格化については米国が最も進んで居り、国が建築発注のプロセスの中に導入したり、研究調査資金を投入してマニュアル類の策定を補助したり、またカリフォルニア州やテキサス州を中心にエネルギー会社が資金投入して各種資料の作成を行ってきたほか、人材育成と資格化、訓練コースの樹立など、民間のNPO団体や大学の社会人教育コース(例:ウィスコンシン大学)に充実した施設が出来ている。

 我が国では空気調和・衛生工学会にて性能検証過程指針を作成、またNPO建築設備コミッショニング協会が2004年に設立されて以来、技術者啓発と社会啓蒙、国際会議への参加と招聘、コミッショニング実務の体験と体験を有効に活用したコミッショニングマニュアル、講習テキストの作成へと順次活動を推進してきた。

 以上のような経過の中で、いよいよ今年度より社会の要請に応えるべく性能検証技術者の人材育成と研修テキスト、実行マニュアル等の作成に邁進したいと考えている。この業務は昨年度後半より会員有志のボランティア作業として、また一部は米国の文書の翻訳外注などを含め、徐々に展開してきているが、このままでは完成まで数年かかりかねず、社会の要請、特に京都プロトコル約束の実現、さらには京都プロトコル以後の目標設定と達成の、面性建築部門の具体的なツールとしてのコミッショニング過程の普及と実行を担う人材育成の間に合わない恐れがある。

 以上の理由により、この作業を推進すべく、本課題に極めて関係が深く、関心の高いと思われる、本協会の賛助会員にもなって頂いているエネルギー各社の参加を得て本検討委員会を設立するものである。

 

2.業務内容

(1)   基幹資料の整備

基幹資料として米国において流通する各種コミッショニングマニュアルや文書化資料など、IEA/Annex40,47にて開発ないし開発中の文書やツールの翻訳を含め、体系化を進める。

ASHRAE Guideline, 1-1996

ASHRAE Guideline, 0-2005

PECI: Model Commissioning and Guide Specification

PECI: Functional Testing Guide

BCA: Building Commissioning Handbook

(2)   日本における既存モデル文書の収集体系化と利用マニュアル作成

原資料としては(いずれも公開可能な範囲)

YBS環境技術センター(施工フェーズコミッショニング)

・日赤医療センター(企画・設計フェーズコミッショニング)

・中電熱田営業所(レトロコミッショニング:改修工事設計・施工・運転フェーズコミッショニング)

・東電立川ビル(施工フェーズ、受渡し段階コミッショニング)

(3)   研修会テキストの作成

・コミッショニング資格体系

・研修テキスト総目次

(4) 資格認定委員会を兼務
・コミッショング技術者CxPE研修会受講者に対する資格認定の判定

3.検討委員会構成(201110月現在)

  委員長                     中原 信生 (BSCA理事長、名古屋大学名誉教授)

  副委員長                   吉田 治典 (BSCA副理事長、京都大学名誉教授)

幹事(代表)                吉田 新一 (BSCA理事、新日本空調株式会社、事務局兼)

幹事(マニュアル担当) 松田 則雄 (BSCA理事、松田技術士事務所代表)

   委員(学識委員)     石福 昭  (早稲田大学元教授)
   委員(学識委員)     渡辺健一郎(芝浦工業大学教授)

幹事(運営担当)       湯沢 秀樹 (鞄建設計総合研究所)

委員                     奥宮 正哉 (名古屋大学教授)

委員                     岡  敦郎 (森村設計)

委員                     島津 路郎 (東洋熱工業梶j

委員                     須山 喜美 (滑ヤ組技術研究所)

委員                     高瀬 知章 (BSCA理事、三菱地所設計)

委員                     柳原 隆司 (BSCA理事、東京大学特任教授)

委員                     山羽  基 (BSCAS理事、中部大学教授)

委員                     西村  英樹 (東京電力)

委員                     濱根 潤也 (関西電力)

委員                     村西 良司 (中部電力)

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建築士体系

 2008年度の法改正で、一級建築士の中に構造設計一級建築士と設備設計一級建築士が創設され、一級建築士の中から実務経験を満たすものに対する資格付与講習を受講し考査に合格したものにその資格を付与することとなった。以後一定規模以上の設備設計はこの設備設計一級建築士が行わねばならず、一級建築士でない建築設備士には法的に設備設計をする資格は無い。ただし、従来通り建築設備士として意見を述べた時は設計図書にその旨を明らかにすることはできる。

 現実に一級建築士でない建築設備士や、建築設備士ではない一級建築士(意匠系、構造系)はこの資格を取得するのがなかなか困難であり、適切な数の有資格者を確保するのは、特に中小の建築事務所や地方都市の建築事務所では困難である。従って実態としては設計の平均的な質は、目的に反して却って低下する可能性が無しとは言えず、将来的に何らかの形で非一級建築士の建築設備士の運用を特定した設備設計一級建築士への登用が不可欠になるであろうと言うのが執筆者(中原)の想定で有り期待でもある。

 

 

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