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 日本再建緊急ワークショップ・講演会の報告概要

 この度の大災害を受けて空調技術者・研究者の立場から緊急に知見を発信したいと(NPO)建築設備コミッショニング協会(BSCA)主催で「緊急ワークショップ----日本再建・これからのエネルギーとコミッショニング」と言うテーマで名古屋 と東京 にてワークショップ・研究会を開催した。趣旨は「今回の震災により電力供給は大きな打撃を蒙り、ガスとともに電力を主たるエネルギー源とする建築設備に携わる者としては、エネルギーの将来像を的確に見据えて、省エネルギーに益々注力し、地球温暖化問題も視野の下におき、それと共にエネルギーセキュリティーの確保に特に留意せねばならぬことが改めて示された。これらは言うまでも無くコミッショニング(プロセス)の実行に当たっての基本的な要求性能である。新しいエネルギー社会像を描くのは極めて重要であるが困難な事業である。コミッショニングの視点をベースに、将来のエネルギー像と省エネルギー社会を目指して不断に努力せねばならない。この時期故にこそ根幹的な建築エネルギーと空調・熱源システムに関する知見を集約する必要が有ると考える」と言うものである。
 冒頭で中原信生(BSCA)が省エネの理念を紹介した(⇒こちら)後、松田則雄(BSCA) が大震災に当たって危機の本質とコミッショニングの役割について述べ(⇒こちら)、設計基準と安全性の概念を点検した。各発表の詳細は公開可能な発表資料 をBSCAのホームページに掲載する予定であるがここで全体をレビューしておく。

1. 省エネ理念と背景
 中原信生(BSCA)が本論前半に述べたような考えをBSCAの理念として紹介した。奥宮正哉(名大)が再生可能エネルギー活用の背景と動向、環境親和ビルの手法について紹介した。下田吉之(阪大)が建築エネルギー予測の原単位を超えた地域スケールへの展開モデルについて説明した。

2. 省エネ判断基準と評価法
 坂本雄三(東大)・宮田征門(建研)がビル省エネの新しい、室用途単位の積み上げによる判断基準の開発状況と考え方の紹介をした。吉野博(東北大)がIEA/Annex53「ビルにおける全エネルギー使用―分析と評価法」の枠組を説明した。同Annexに参加する江億(清華大)は同じ建物でもライフスタイルによってエネルギー消費に大きな差を生じるから、省エネ評価は実消費量によるべしと強調した。

3. 省エネのための負荷低減、省エネ建物の極限
 朱頴心(清華大)は省エネのためには概念設計時にエネルギー負荷の小さい建物形状の最適化が重要であるとして遺伝子アルゴリズムを用いた手法を紹介、また快適性を確保する省エネ的な環境設定法について述べた。Claridge(テキサス大)はビル省エネの極限を探るために完全断熱、カルノーサイクルの仮定など、理想状態を仮定しての極限値を求め、現状との大きな乖離が理念としての目標値を与えると述べた。田中英紀(中部大)は自宅に複合エネルギー・自然エネルギーを適用した超省エネ住宅を実現した設計手法と実績について述べた。

4. コミッショニング(Cx)による最適化とシミュレーションの役割、ツールの選択
 シミュレーションのコミッショニングへの適用と言う点では前記の朱の応用もそうであるが、いわゆるシステムシミュレーションによる事例が丹羽英治(NSRI)・尹 奎英(名市大)によるLCEMの適用で、晴海DHCの実績を用いたシミュレーション結果が実績に極めて近い結果を出してコミッショニングに耐えることを示した。吉田治典(岡山理大)はJR京都駅複合ビルのレトロコミッショニングへのMATLABツールの適用例を、既設システムのコミッショニングによる高効率化については、魏慶?(清華大)が晴海DHCを含む熱源システムの例を、王?(同)が二次側空調に対する外気冷房とVAVに焦点を当てた考察例を示した。

5. 既設ビルのCxツール選択とデータ処理
 Claridge(テキサス大)は既設ビルのコミッショニングの重要性、Cx手法の選択の落とし穴を注意した。山羽(中部大)はCxのための多量に発生するデータを効率的に処理する手法と、BIMの活用がコミッショニングの適用にまで及ぶ展望を述べた。吉田治典もデータ処理の課題を述べている。  最後に松田則雄がBSCAのコミッショニング資格制度を解説し、日本におけるイニシャルコミッショニング、レトロコミッショニングビジネス展開の基盤が整ったことを話した。これらの討論の結果を二つの会場で討論し、緊急討論会の宣言を作り上げる予定を述べて会を終えた。


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