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高効率エネルギー関連設備導入とその効果の確実な発現に向けた調査研究 |
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| 本調査研究は、社団法人日本ビルエネルギー総合管理技術協会より
、 平成16年度事業として委託された 調査報告書によるものである。
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| はじめに | |
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建築において、5年、10年以上の中・長期の展望の下に省エネルギー、温暖化ガス排出低減化対策に基づく効果を持続させるためには、これから作られる建物のエネルギー・環境性能をいかに確実に実現していくかと言う社会システムが構築されなければならない。本研究はこの問いに答えるべく、近年の建築性能検証による省エネルギー実現の手法として極めて有望とされているコミッショニングプロセスの導入にあたり、高効率エネルギー関連設備導入と、その効果の確実な発現に向けた建築生産における当初性能検証(イニシャルコミッショニング)プロセスについての調査研究として、 を取りまとめたものである。 |
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| コミッショニングプロセスとは | |
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コミッショニングプロセス(性能検証過程)がコミッショニングと呼ばれる必要条件は、 |
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@ プロジェクトの設計・施工・管理業務からは独立した職能としてのCA(性能検証責任者)が検証業務をつかさどる。 |
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| 国内外の展開状況 | |
プロセスとしてのコミッショニング(コミッショニングプロセス)の必要性が叫ばれて1989年に米国空調冷凍技術者協会(ASHRAE)により最初のガイドラインが策定された。PECI (Portland
Energy Conservation Inc.)というNPOが米国における国策に基づくコミッショニングの実務資料作りと全米コミッショニング会議(NCBC,
National Conference on Building Commissioning)を1993年より主催、1990年代初めにDOE(Department
of Energy連邦エネルギー省)が策定した国家再建計画(National Project: Rebuild
America)においてコミッショニング採用による省エネルギー化の効果について定量化しこれを極めて有効な手段として位置付け、そのための戦略を立てた。またGSA(General
Services
Administration連邦調達庁)が建物発注のプロセスにコミッショニングを取り入れることとしその手続や文書化の有り方を明確化、2000年に入ってからは持続可能ビルの認証制度LEED(Leadership
in Energy and Environmental Design)が発足し、認証の前提条件の一つにコミッショニングプロセスの採用を規定し、そしてこのLEED制度の普及が始まるに及んで、コミッショニングプロセスの採用が少なくとも公共建築においては常識として理解されるようになり、民間分野でも適用が増えつつある。 |
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| わが国では1980年代後半に中原信生(名古屋大学、当時)が始めてコミッショニングに関する情報を紹介し、建築学会及び空気調和・衛生工学会の研究発表会や学術研究委員会において基本概念を紹介するとともに、折から設置された空気調和・衛生工学会BEMS委員会にて委員長としてコミッショニング基本指針を取りまとめ、さらに2000年に設立された同学会コミッショニング委員会において実施要綱を含む正規の指針として「建築設備の性能検証過程指針」を2004年3月に取りまとめた。実に米国に遅れること15年にしてコミッショニング指針が発表されたのである。この間に、2000年に実プロジェクトである山武環境技術センター新築工事において、同じく中原をCA(性能検証責任者)としてコミッショニング過程の実証が行われ、その有益性が証明されるとともに上記の指針に盛り込むべき体験を得た。 | |
| コミッショニングプロセスの進め方 | |
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企画段階においては、新築ビルの概要や採算性、省エネルギーや都市・地球環境への寄与に対する考え方等を展開して、発注者が建築・環境及び性能理念に関する自分の考えを「企画書」としてまとめる。発注者は、プロジェクトに性能検証を適用することを判断した場合に「性能検証提案要求書」を作成し、CA候補者から提出された「性能検証提案書」の内容を確認してCAを選定する。 |
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基本設計段階における性能検証過程の目的は、性能検証に係る計画
組織の妥当性、進め方を検証し、性能検証の手順や実施スケジュールを明確にし、設計家が性能検証仕様を設計図書に明記することができるように、設計概念と整合するよう「性能検証計画書」を見直し発展させることにある。 |
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工事発注段階では、施工段階において性能検証過程を実施することを周知させることにある。ここではまた 、発注者の要望事項に基づいた性能検証が確実に行われ、入札から契約に至る業務が円滑に行われるようにすること、設計フェーズで完成した設計図書及び発注かつ契約に関する図書を合体した建設図書が関係者全体へ発行されることである。施工フェーズにおける性能検証過程に関する現場説明や質疑応答への回答書の作成において、性能検証過程の重複ないし欠落の無いようにする必要がある。特に分離・分割発注がなされるときは、重複又は脱落が生じないよう、情報を適切に流通させる必要がある。 |
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施工段階の性能検証の目的は、工事の進捗に合わせて設計段階で決定された建築設備の性能を確実に実現するために、工事の品質管理と、それを可能にする工程管理とを性能検証することにある。 |
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受け渡し段階では、工事が完了した設備が工事完了時点において適切に稼動し、保守管理要員への引継ぎが可能であることを確認すること、竣工引渡しに必要な関連図書の確認すること、及び運転・保守管理要員の教育訓練である。 |
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運転段階では、竣工後の作業となるので、この段階の関係者は、CA、運転保守管理者、発注者が主体であり、必要に応じて工事請負者、及び設計家の参加が要請される。 |
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| 建築発注者の判断の基準とすべき事項について取りまとめ | |
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コミッショニングプロセス(性能検証過程)の目指すところは、省エネルギー(そのほか、環境、業務効率化、コスト・工期なども)性能を最適化し実現させるための、発注者のための支援システムであり、それは取りも直さず設計家、工事請負者にとっても公明正大な建築生産システムの実現を可能とするものである。 |
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| CAの役割 | |
| 企画段階では、基本的にCAは当該工事の専属者としては参加せず、要望に応じてコンサルタントとの資格で、発注者がプロジェクトの品質レベルを決定することを補佐してCA請願書の作成を補佐することがある。 | |
| 活動内容 | |
| この段階では、基本的にCAの参加無しに行われるが専門的知識を供給するコンサルタントの介在は必須であり、CA有資格者がコンサルタントとして、発注者への援助作業を行うことを妨げるものではない。 | |
| 等。 | |
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| CAの役割 | |
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CAは、性能検証企画書(企画フェーズ)を書き上げつつ、発注者が上記の企画・設計要件書を作成し設計提案書の作成や設計家の選定基準の作成などについて発注者の援助ないし代替を行う。 この過程において性能検証責任者は、必要に応じて発注者の側にある建設総監督者(CM'er)・施設管理者(FM'er)・資金計画アドバイザー・維持管理担当者や、場合によっては入居予定者等の意見を勘案するたにワークショップを開催してブレーンストーミングを行って発注者の要求すべき事項を取りまとめてこれを専門用語に展開し、それらを文書化するとともに、関連する設計・施工・試験調整・各種コンサルタントの導入等にかかるコストの算定やこれに関わる法則の調査を行う。これらは、次の設計段階の重要な情報として受け継がれていく。 |
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| 活動内容 | |
| コンストラクションマネージャとの契約 | |
| 発注者はCAと契約を行い、CAは業務を開始する。 | |
| 各種フィージビリティースタディを行う。 | |
| 等。 | |
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| CAの役割 | |
| CAは、この段階の計画・設計内容の妥当性を検証し、性能検証の手順や実施スケジュールを明確にし、設計者が性能検証仕様を設計図書に明記することができるように、設計概念と整合するよう性能検証計画書を見直し発展させる。 | |
| 活動内容 | |
| 性能検証会議を主催する | |
| 建築計画との整合性をプレビューする | |
| 設計と設計チームとの品質を確保する | |
| 等。 | |
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| CAの役割 | |
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CAは、そこに書かれてある項目内用の正確さを検査し、十分に完備されているかを検証することである。 なお、設計作業の詳細とレビュー、品質及び工程管理は設計業者の管理内にあるのは言うまでもないが、その管理が不適切もしくは発注者の要求内容に反する不適切な変更が認められるような場合には、CAは不具合の状況や性質に応じて、直接または発注者を通して間接的にそれらを指摘し、発注者の意思決定に基づいて修正の指示がなされるべきである。 |
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| 活動内容 | |
| 性能検証会議を主催する | |
| 関連するQ&Aを要約する | |
| 可避コストを計上する | |
| 等。 | |
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| CAの役割 | |
| このフェーズにおけるCAの役割は、工事発注において性能検証の役割分担と分担業務に関する情報が明確に入札業者に伝わるように発注者ならびに担当関連組織を支援することにある。 | |
| さらに、この後に続く施工フェーズから、性能検証過程に入るという、特殊ではあるが一般的に採用される可能性の高い過程においては、このフェーズ内に施工性能検証準備手続きの過程を設け、施工性能検証のための準備作業としての事後的な企画・設計段階の性能検証を行う。 | |
| 施工性能検証準備手続きにおいては、実施されなかった企画フェーズ及び設計フェーズの事後性能検証を、性能検証のための性能基準を明確にするために、企画から設計完了に至るまでの関連文書を校閲し、性能検証の可能性を明らかにすると共に、性能検証の観点から設計内容に不備と思われるところがあれば発注者に助言する。助言を受けた発注者は設計家を交えて打ち合わせを行い、結論を導く。この際、性能検証者の役割は、予算の兼ね合いのもとに、設計品質と要求品質の調和を得るための専門知識に基づく公平な助言を発注者と設計者の双方に対して行うことである。 | |
| 活動内容 | |
| 性能検証計画(施工段階)を入札用に見直す。 | |
| 可避コストを計上する。 | |
| 現場説明会、質疑応答。 | |
| 等。 | |
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| CAの役割 | |
| この段階の性能検証者の役割は、設計変更への対応、施工管理と工事管理の適正検証、機器承認過程とTABの実施状況の監査と確認である。すなわち、発注者の要求内容変更を関連業者に、また関連業者からの設計・仕様変更提案を発注者に、工事管理者を通して的確に伝え、要求性能実現の観点からみたその必要性・実現可能性についてそれぞれに助言を行う。さらに、工事管理や施工管理が本来の役割を的確に果たしているか否かについて監査し、予め明示した項目に対する試験調整・試運転の立会い、及び抜き取り検査、メンテナビリティーの確認を発注者とともに、あるいは発注者に代わって行い、施工管理と工事管理の品質を検証する。 | |
| 活動内容 | |
| 工事管理計画書・施工管理計画を確認する。 | |
| 施工要領書などの施工関係図書を確認する。 | |
| 性能検証会議を運営する。 | |
| 等 | |
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| CAの役割 | |
| この段階の性能検証者の役割は、機能性能試験の実施、運転管理者の教育・訓練教程の策定と実施、竣工記録や準備管理者が正しく完全に文書化されているかの検証を行う。 | |
| CAは、機器やシステムが許容性能をもって作動するのかを開・閉回路試験を含む機能性能試験によって検査する。ここで明らかになった不具合は設計・施工チームによりできるだけ適切かつ迅速にシステムを再調整し、解決することが求められる。CAはさらに訓練・教育プログラムを策定しこれを指揮して、維持管理担当者がシステムの設計意図や期待している訓練・教育プログラムを策定しこれを指揮して、維持管理担当者がシステムの設計意図や期待している環境・エネルギー性能、制御方式を十分に理解できるようにする。この段階の結果は、CAによって文書かされ、施工が完了したことの証明書として受け渡しのために発注者に報告される。 | |
| その施工が不適切であると判断し、入居前の再調整に残された時間が十分でない場合は、CAは、設計業者や工事請負業者、機器メーカーによって再調整されるべき不具合のリストを作成し、次の受け渡し後段階の性能検証でこれらの不具合が適正化されるべきことを発注者に提言しなければならない。 | |
| 活動内容 | |
| 試験運転調整記録、検査記録を確認し、必要に応じて修正を指示する。 | |
| 機能性能試験事前チェック実施 | |
| 機能性能試験の実施 | |
| 等 | |
| 各段階における具体的な役割、活動内容はこちら | |
| 過去になされた類似プロセスの事例の紹介 | |
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において、過去に行われたコミッショニングプロセスについて紹介する。 |
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大規模市街地再開発である、晴海アイランドトリトンスクエア(敷地面積約8ha、延床面積約67万u)において、コミッショニング的プロセスを行った。性能検証における各フェーズ区分は、企画フェーズ、設計フェーズ、工事発注フェーズ、施工フェーズ、運転フェーズである。以下に、各フェーズにおけるコミッショニングの概要を示す。
企画フェーズ 計画段階では理事会での決定を受けて、1990年に学識経験者、地権者、設計者で構成される技術検討委員会を設置した(委員長:中原信生名大教授)。委員会では、シミュレーションに基づく熱源システムの配置計画、経済性などの検討を行った。その結果、熱源プラントを第一街区に設置し、第二・第三街区へ冷温水を供給する集中設置方式が採用され、基本計画書としてまとめられた。 設計フェーズ 実施設計段階では、高効率な温度成層型蓄熱槽を実現するため、分配器を新規製作し、模型実験により性能を確認した。 施工フェーズ 受渡し段階以降の性能検証実施のため、学識経験者・発注者・設計者・施工者・運転保守管理者によりなる評価委員会を設置した。従って機能性能試験は第三者機関で報酬を支払われたCA組織が行ったといえる。
運転フェーズ
受渡し段階以降の性能検証まとめ |
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建築の室内環境研究分野の研究開発施設である、山武環境技術センターにおいて実施したコミッショニングプロセスの概要を示す。 着工(2000年2月)後に性能検証作業の依頼・実施(2000年3月)となったため、企画フェーズ・設計フェーズ段階については事後性能検証と文書化を行った。そのため施工に対して影響を与えない範囲での検証作業にとどまった。また、工期が厳しいため、入居段階での残工事が終了するのを待って検証作業を実施した。 企画フェーズ・設計フェーズ 企画・設計フェーズの性能検証の目的は、建築主の企画意図が設計に反映されていることはもちろん、設計内容がライフサイクル的視点からみて費用対効果上バランスのとれたものであるかを設計者以外の第3者が確認することにある。企画・設計段階における性能検証者の役割の第一歩は、発注者の要求性能を確認し、設計与件として文書化し、設計者に対して提示することである。この文書は「設計趣意書(design intent)」と呼ばれ設計段階の性能検証のベースとなる。 施工フェーズ 本来施工図の検図は工事監理(設計監理)者の役割で、設計図書通りになされているかのチェックを行う。性能検証者の役割は工事管理が適切になされているかのチェックと、発注者の要望の変更に基づく設計変更事項の公平な査定と助言、特別に指示した項目に対する試験調整や工場試験立会いを行うものと理解する。今回は上記のように余裕が無い事から、設計性能検収項目と絡めて施工図、機器承認図等の検図を適宜含めると言う変則的な形での施工性能検証が行われた。
保守性能(メンテナビリティー)検証 試運転調整(TAS)性能検証
施工フェーズ・受渡し段階の性能検証過程
機能性能試験(FPT)
教育訓練教程
運転フェーズ(受け渡し後段階)の性能検証 |
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